Salesforceにはいくつかの便利な自動化処理が標準機能として備わっています。
主な自動化処理機能として以下の4つ挙げられます。
- ワークフロールール
- プロセスビルダー
- フロー
- 承認プロセス
さて、これら4つの違いをみなさんは説明できるでしょうか?
なんとなくわかっているつもりだけど、厳密には、、、
という方も多いのではないでしょうか?
開発者やシステム管理者、アドミニストレータの方であればこれらの機能を触れる機会も多いと思いますのでしっかり違いを認識しておきましょう。
ワークフロールール
ワークフロールールとは
ワークフロールールとは、レコードが作成・更新されたことをきっかけに、設定したアクションが動作する自動化機能です。
実行されるアクションはワークフローアクションとして事前に定義しておく必要があります。
起動タイミング
- レコードが作成されたとき
- レコードが更新されたとき
ワークフローアクション
ワークフローでは以下のようなアクションを実行できます。
アクション | 説明 |
---|---|
ToDoの作成 | Todoを作成しユーザを自動で割り当てる |
メールの送信 | メールアラートを使用したメール送信 |
アウトバウンドメッセージ | Salesforce が自動的に社外システムに送信する SOAP トランザクション |
項目自動更新 | 起動元のレコード、もしくはその親のレコードを更新 |
プロセスビルダー
プロセスビルダーとは
条件に基づくビジネスプロセスを自動化できる機能です。
ワークフローより高度な自動化の設計が可能であり、画面上でフローを確認しながら作成することができます。
起動タイミング
- レコードが作成されたとき
- レコードが更新されたとき
- 別のプロセスから呼び出されたとき
- プラットフォームイベントメッセージを受信したとき
プロセスビルダーで可能なアクション
プロセスビルダーでは以下のようなアクションを実行できます。
アクション | 説明 |
---|---|
レコード作成 | 手動で値を入力するか、関連レコードの値を使用してレコードを作成 |
関連レコードの更新 | 値を手動で入力するか、関連レコードの値を使用して、プロセスを開始したレコードに関係する1つ以上のレコードを更新 |
別のプロセスの呼び出し | プロセスを別のプロセスから呼び出す |
Chatterへの投稿 | ユーザー、Chatter グループ、またはプロセスを開始したレコードのフィードに投稿 |
クイックアクションの使用 | 組織でユーザまたは他のシステム管理者が作成したクイックアクションを使用して、レコードの作成、レコードの更新、活動の記録を実行 |
Quipの操作 | 重要なイベントが発生したら文書、チャットルーム、およびフォルダを作成 |
フローの起動 | プロセスから自動起動フローを開始して、複雑なビジネスプロセスを自動化。コードを記述せずに、ロジックを実行するフローを作成し、イベントからプロセス経由でフローをトリガーする。 |
メールの送信 | メールアラートを使用して、プロセスからメールを簡単に送信 |
カスタム通知の送信 | 重要なイベントが発生したときに、カスタマイズした通知を送信 |
アンケートへの招待の送信 | 特定のアンケートの質問へのリンク、またはアンケートを開始するためのリンクを含む招待メールを送信 |
レコードの承認申請 | プロセスを開始したレコードを承認申請 |
Apexコードのコール | プロセスからApexをコールして、カスタマイズされた機能をプロセスに追加 |
フロー
フローとは
フローチャートを使用することでプログラムを一切書くことなく高度な自動処理を実現できる機能です。
Salesforceではワークフロールールやプロセスビルダーからのフローへの切り替えを推奨しています。
今後サポートが切れる可能性も視野に入れ、早めにフローへの移行も検討するとよいかと思います。
起動タイミング
- レコードが作成されたとき
- レコードが更新されたとき
- レコードが削除されたとき
- ユーザがボタンまたはリンクを押下したとき
- ユーザがカスタムタブにアクセスしたとき
- プロセスが開始したとき
- Apexがコールされたとき
フローで可能なアクション
フローでは、ワークフロールール、プロセスビルダーで実行できていたアクションはすべて実行可能です。
それに加え、任意のレコードを更新できたり、フロー内でメールの宛先やテンプレートを指定できたりと、
できることの幅が広い自動化機能になります。
承認プロセス
承認プロセスとは
Salesforceの承認プロセスを使用すれば、承認が必要な社内手続きを自動化することができます。
承認プロセスでは、承認申請者、プロセスの各ポイントでの実行内容など、承認の各ステップを指定して、細かく承認のフローを作成できます。
起動タイミング
- ユーザがボタンまたはリンクを押下したとき
- [承認申請]アクションを含むプロセスまたはフローが開始したとき
- Apexがコールされたとき
承認プロセスで可能なアクション
承認プロセスでは以下のようなアクションを実行できます。
アクション | 説明 |
---|---|
ToDoの作成 | Todoを作成しユーザを自動で割り当てる |
メールの送信 | メールアラートを使用したメール送信 |
アウトバウンドメッセージ | Salesforce が自動的に社外システムに送信する SOAP トランザクション |
項目自動更新 | 起動元のレコード、もしくはその親のレコードを更新 |
自動化機能の違いと使い分けまとめ
ここまでSalesforceにおける4つの自動化機能について説明してきました。
それぞれの特徴を比較的よく使用するアクション別に表にしてみましたので、使い分けや用途で悩んだ際は参考にしてみてください。
ワークフロールール | プロセスビルダー | フロー | 承認プロセス | |
---|---|---|---|---|
起動タイミング | ・レコードが作成されたとき ・レコードが更新されたとき | ・レコードが作成されたとき ・レコードが更新されたとき ・別のプロセスから呼び出されたとき ・プラットフォームイベントメッセージを受信したとき | ・レコードが作成されたとき ・レコードが更新されたとき ・レコードが削除されたとき ・ユーザがボタンまたはリンクを押下したとき ・ユーザがカスタムタブにアクセスしたとき ・プロセスが開始したとき ・Apexがコールされたとき | ・ユーザがボタンまたはリンクを押下したとき ・[承認申請]アクションを含むプロセスまたはフローが開始したとき ・Apexがコールされたとき |
レコード作成 | Todoのみ | 〇 | 〇 | Todoのみ |
レコード更新 | 起動元のレコード、もしくはその親のレコード | 任意の関連レコード | 〇 | 承認申請対象のレコード、もしくはその親のレコード |
レコード削除 | – | – | 〇 | – |
メール送信 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
フロー呼び出し | – | 〇 | 〇 | – |
Chatterへの投稿 | – | 〇 | 〇 | – |
ただ、すでにワークフロールールとプロセスビルダーについては新規作成ができなくなっているので、基本的にフローを使用して対応する必要があります。(2023年9月時点)
また、より複雑で自由度が高い自動化処理が必要な場合はApexでの実装も視野に検討が必要です。
ただ、たいていのプロセスはフローを使用すれば自動化は可能です。
管理者の保守・運用負担も考慮すると、できるだけノーコードでの開発が可能なフローの作成が得策と言えるでしょう。
今回は以上です。
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