今日はOAuth(オーオース)認証について、解説してみたいと思います。
普段のWebアプリやモバイルアプリを利用していると、例えば「Googleでログインする」「Facebookでサインインする」といった機能を目にすることがあると思いますが、これがOAuthを使った仕組みです。
OAuthとは
OAuth(オーオース)は、アプリやサービスが、他のサービスのデータや機能を使えるようにする仕組みです。
例えば、
- Instagramの写真をXでシェアするとき
- スマホゲームがGoogleアカウントでログインするとき
これらは全部OAuthが働いているんです。
- OAuth(Open Authorization)は、アプリケーションが他のサービスやアプリケーションに限定的にアクセスするための認可のフレームワーク。
- SSOの一種
OAuthのいいところ
- セキュリティ向上
- ユーザーはパスワードを直接第三者のアプリケーションに渡す必要がないため、安全性が保たれます。
- アクセス権限の制御
- アプリケーションがアクセスできる範囲をユーザーが制限できるため、データの取り扱いがより柔軟に管理可能です。
- アプリ間連携が容易
- アプリケーションがユーザーの代理で他のサービスにアクセスできるため、スムーズなデータ共有が実現します。
OAuthを使うと、ユーザーがID/パスワードを直接他のアプリケーションに渡すことなく、自分の情報やデータへのアクセスをアプリケーションに許可できます。
つまりID/パスワードの管理や流出のリスクを減らすことができます。
また、他のサービスやアプリケーションに限定的にアクセスを許可することができるため不要なアクセス権を付与せずに済みます。
OAuthの主なユースケース
- ソーシャルログイン
- GoogleやFacebookを使って他のアプリやサービスにログインする機能。
- APIアクセス
- 例えば、第三者アプリケーションがユーザーの許可を得てGoogle DriveやTwitterのデータにアクセスする場合。
- モバイルアプリの認証
- ユーザーが一度認証するだけで、アプリがバックエンドAPIにアクセスできる仕組みを提供。
OAuthの仕組み
OAuthは、「アクセストークン」という一時的な認可情報を用いて、アプリケーションが他のサービスのデータにアクセスする仕組みです。
- アクセストークン
- アプリケーションがユーザーの代わりにデータを取得するために使う認証証明書。
- リフレッシュトークン
- アクセストークンが期限切れになった場合に、新しいアクセストークンを取得するために使うトークン。
アクセストークンは、クライアントアプリケーションがリソースサーバー(API)にアクセスするための一時的な認証情報です。これは通常、ランダムに生成された文字列で表されます。
- 有効期限
- アクセストークンは短期間(数分から数時間)のみ有効です。
- スコープ
- トークンには、クライアントが実行できる操作の範囲(スコープ)が含まれます。
- 一意性
- 各トークンは特定のクライアントとユーザーの組み合わせに対して一意です。
- 再利用可能
- 有効期限内であれば、同じトークンを複数のリクエストで使用できます。
OAuthの登場人物
リソースオーナー(Resource Owner)
リソースオーナーは、データを持っている人、つまり「あなた」です。
例えば、あなたのGoogleアカウントや、Instagramの写真などがリソース(資源)です。
リソースオーナーとして、データへのアクセスを「許可」するかどうかを決める役割を持っています。
クライアント(Client)
クライアントは、リソースオーナーのデータを使いたいアプリやサービスのことです。
例えば、ゲームアプリやSNS連携を求めるアプリがこれに当たります。
クライアントは、データを使う許可をもらうためにリソースオーナー(あなた)に認証を依頼します。
リソースサーバー(Resource Server)
リソースサーバーは、データを保管している場所やサービスのことです。
たとえば、Googleのサーバーや、Instagramのサーバーがこれに該当します。クライアントがデータを取得したいとき、リソースサーバーにリクエストを送ります。もちろん、適切な「アクセストークン」がないとデータを渡しません。
認可サーバー(Authorization Server)
認可サーバーは、リソースサーバーと連携して「誰がアクセスしていいか」を管理する役割を持っています。
認可サーバーは、リソースオーナーが許可を出したことを確認すると、クライアントにアクセストークンを発行します。
このアクセストークンが、クライアントがデータを取得するための「カギ」となります。
OAuthの流れ
OAuthの登場人物がわかったところでもう少し詳しい仕組みを見てみましょう。
例として「Salesforce」が「Google Spread Sheet」に「Googleアカウント」でログインする流れを考えてみます。
0. SalesforceがSpread Sheetにアクセスしようとする
まず、SalesforceがGoogle Spread Sheetにアクセスを試みます。
1. リソースサーバーへのアクセスを認可サーバーに求める
SalesforceがGoogleの認可サーバーに、「この人(あなた)のログインを確認したいです!」とお願いを送ります。
2. リソースオーナーにアクセス許可を確認
Googleがあなたに「SalesforceがSpread Sheetを編集したいらしいのですが許可してよいですが?」と聞きます。
3. アクセスを許可
ユーザがアクセスを許可します。
4. アクセストークンを発行
ユーザーが許可を与えると、Google認可サーバーはSalesforceに「アクセストークン」を発行します。
5. Spread Sheetにアクセス
Salesforceはアクセストークンを使って、Google Spread Sheetにアクセスできるようになります。
OAuthの課題
セキュリティリスク
誤って過度の権限をアプリケーションに与えてしまったり、アクセストークンが第三者に盗まれたりするリスクが存在します。
適切なセキュリティ対策(例えば、HTTPSの利用やトークンの短期間有効化)が必要です。
また、不要になったアクセス許可は解除するようにします。
プロトコルの複雑さ
OAuthは多くのステップを経て認証が行われるため、設計や実装がやや複雑です。
特にOAuth 2.0では、柔軟性が高い反面、開発者が正しく設定しないと、セキュリティ上の問題が発生しやすくなります。
まとめ
OAuthは、アプリ同士を安全につなぐための仕組みです。
少し難しそうに見えるますが、基本は「パスワードを教えずに必要なデータだけ見せる」という考え方です。
- OAuthは、アプリケーションがユーザーのデータに安全にアクセスするための認可プロトコル。
- アクセストークンを使って、他のサービスにユーザーの代わりにアクセス可能。
- ユースケースとしては、ソーシャルログインやAPIアクセスなどが代表的。
- OAuthの導入により、セキュリティと利便性が向上する一方、実装や運用にはセキュリティ対策が必須。
以上です。
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